

なめらすじ
東京郊外も近くなりましたねぇ。都外の中核都市にも今や電車で1時間足らず。 僕は整体業を営んでおりましてね。基本的に出張は受けないのですが、恩人のたっての頼み、と言われちゃいますと断れません。 その日、恩人のNさんからお申し出がありましてね。出張のご依頼でした。ご同僚が急に体...


夜の咽び
歴史の古い街に住んでいますとね、様々な奇妙な話を聞くことが出来ます。 僕の住む街はお寺さんが多くて。小さな頃は一風景でしかなかったお寺さんですが、由縁をお聞きしますとね、そこには色々な物語が隠されているんですね。 中学時代の友人、榊君とこの間、遭いましてね。彼の話が面白かっ...


奇縁奇瑞
これはまさに奇縁でしょう。そして、私はとある方達の成仏に携われたのかもしれません。 私は鎌倉散策が好きでしてね。それこそ毎週出かけた時期もありました。 女房を連れて、北鎌倉の古刹を訪ねましてね。何度も訪れているところですので、そのお寺で行っていない所を巡ってみようということ...


心残り
私が学生時代、一年ほど住んでいたのは、因縁深い地域でしてね。水汲、と書いて、みずくま、と読みまして。 では、何の水を汲むのか? これは引越した後、しばらくして聞いたことなんですがね。実は江戸時代から明治に至るまで、水汲地区は処刑場だったそうでして。処刑者の血を洗う水を汲んだ...


井戸
水道路のない昔、井戸は身近な異界への入り口でした。何しろ、井戸に落ちてしまうと死んでしまうこともありましたしね。 反面、人に必要不可欠な水も恵んでくれます。井戸に畏敬の念を抱くのは当然と言えば当然でしょうね。 近年、水道路の発達により、井戸は落ちて危ないもの、と考えられるよ...


探しモノ
陰惨な歴史、特に戦争時代の悲しい話ほど、伝わり難いのではないか、 とよく思います。決して忘れることのできない、心に刻み付けられた光景なんでしょうけれど、思い出すたびに心が疼く。戦争体験が伝わらない訳は、伝える側のそんな心の痛みがあるからかもしれません。...


妖怪化する人々
近所の商店街の外れに、とあるバーがありましてね。そこのママさん、気が強い、というか、性格的に激昂しやすいというか、とにかくコワイ人でしてね。よく言えば、類稀なる上昇志向の持ち主。ですので、非常に理想が高く且つ厳しい。女性スタッフは元より、バーに来るお客さんにまで厳しい人...


二人乗り・・・
川に架かる橋、って、門と同じく、異界への入り口だ、という話、聞いたことありません?丑の刻参りの原点は橋姫ですし、昔話の”大工と鬼六”で、橋を架けるのは鬼ですし。神道では、川も重要で、川に流した穢れはいずれ海の底に流れ着くといいます。そうすると、川は異界の始まりで、そこに...


Fトンネル
数々の怪談話で、東京近郊にあるこのFトンネル。幽霊出現目撃記録や、M事件にまつわる恐怖体験もありますが、僕が体験したのは、異次元体験でしたねぇ。ここはおかしい。 幼女誘拐殺人(M事件)で注目されたこのトンネルは、今から凡そ10年前、心霊スポットとして雑誌やテレビでちょろちょ...


キ、ツ、ネ・・・
僕は誰にでも霊感みたいなものがあると思ってましてね。ない人なんていないんじゃないかなぁ。これが霊感だ、とはっきり示せる人が居ないだけで、皆持っているんだと思うんですよ。なければ生きていけないわけだし、ねぇ。 霊感を言い換えちゃうと解りやすいかもしれませんね。霊感=インスピレ...