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手毬:解明編(注意!障る怪談です!)

  • ドラ
  • 2015年9月12日
  • 読了時間: 4分

 どうやら、発端編はアップできましたねぇ。恐らく、この解明編もアップできそうですが、この編に続く最終編の伝染編がアップできるかどうか、ちょっと心配ですねぇ・・・。

 とりあえず、続きを書く前に、もう一度注意させていただきます。この一連のお話は、障るお話ですので、読んで恐い思いをしたくない、と言う方は、こちらも読み飛ばしていただきたいと思います。

 さて、前述のF君の家で一泊した後のお話になります。結局、F君は、僕があの蛍祭り会場で何を見たのか聞かないまま、僕を見送ってくれました。

 松本まで戻り、僕はそのまま大学の、自分の所属する研究室に戻りましてね。と言いますのも、前夜経験した奇妙な体験を、ある人物に話したかったためでして。

 その人物とは、同じ研究室にいるU君といいましてね。彼は非常に興味深い知識を持っていまして。日頃、自分は仙人になる。その為の修行は欠かさない。と、豪語する、類稀な人物です。U君ならば、僕が昨晩に経験した奇妙な映像割り込み体験の説明をしてくれるんじゃないか?と思ったわけです。その成果は、思う以上の結果となったわけですよ。

 研究室に行きますと、都合いいことに彼は実験データの整理作業中でした。

 そこで、

「なあ、U。昨日、丸子町の蛍祭りに行って、奇妙な体験を・・・」

と、そこまで話し始めた時です。彼は僕を見つめるというよりも、僕の背後を窺うようにして、こう言いました。

「あ、全部言わなくても判りますよ。・・・子供、でしょう?」

彼は確かめる、と言うよりも、確信を持ってそう言いました。

 僕が驚いたのも無理はないでしょう。何故ならU君には、ろくに話の内容を告げていないのに、子供、と言い出したのですからね。

 驚いた僕は、逆に彼に聞いちゃいましたよ。

「子、子供、って?」

「うん。見えますよ。後ろに憑いてる。その子供、江戸時代かな?いや、江戸時代の終わりから明治時代?いやいや、明治時代の子供ですね」

彼はあっさりとそう言い切る。

「明治時代?江戸時代じゃないの?」

「はい。その子は明治時代だと言ってます。年齢は6歳?7歳?」

U君はここも当たり前だといわんばかりにそういうんです。

 少なからず僕は興奮しましたね。この時ばかりはU君の異能を信じざるを得ませんでした。

「ああ、いろいろ判ります。その子供、女の子だ」

ですが彼がそう言った途端、少し彼を疑ってしまいました。

「え?男の子じゃないの?」

僕の脳裏に割り込んできた映像は、赤いものが前掛けに見えたのです。童話・金太郎さんの前掛けのようなものをしている子供の映像が浮かんだのです。

 ところが、どうやらU君は僕以上に、その子供の姿が見えていたんですね。

「いえ、女の子です。赤い着物を着ていますよ」

確かに赤いものを身につけていました。赤いものを身につけている、なんて、U君には告げていないのに、また、彼の口から、伝えていない情報までが飛び出したんですよ。

 この時の僕は、彼の異能に驚きつつも、ほんの少し試してやろう、という気持ちが残っていました。

「女の子かなぁ?確かにUには言っていなかったけど、その子供、赤いものを身に着けてたんだ。僕はそれが金太郎さんの前掛けに見えたんだけど。で、その子、こうして腕を前後に開いて・・・」

と、昨晩の脳裏に残った映像そのままの子供の格好をして見せました。すなわち、片足を前に踏み出し、両手を前後に開き、手のひらを下に向けてはしゃぐ姿を彼に見せたんです。

 すると、彼は急に僕の、手のひらを下にした手首をぐっと掴んでこう言いました。

「ほら、この手。この手は手鞠遊びをしている女の子の姿ですよ!彼女は手毬をしていたんです!前掛けではなく、赤い着物を着た、手毬遊びをしている、明治時代の女の子なんですよ!」

 その時こそ背筋がゾッとしたことはありませんでした。いえ、彼が急に僕の手首を掴んだからゾッとしたわけではないんです。U君の言った、昨晩の子供は明治時代の女の子で、赤い着物を着て、手毬遊びをしている、その確信めいた言葉にゾッとしたんです。それは、恐い、というよりも、謎が解けた時の解放感のような、軽い興奮のために背筋が寒くなった。つまり、U君の言う通りなのだ、と信じた瞬間でした。

 次はこのお話の最終話に繋がっていきます。意外な方向に展開していきましたので、僕は当時、正直ビビリました。次の展開で、蛍祭りの会場にて、僕が見た映像と、U君の話の辻褄がぴったりと合わさっていくことになります。そして、それが拡散していくんです・・。

 
 
 

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